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2000年、IRCは金沢大学から依頼を受け、ソーラーカーレース用タイヤの共同開発に着手した。その共同開発スタッフの中に、草野の姿があった。共同開発以前は、自転車用の「エコラン」タイヤがソーラーカーレースの主流だった。しかし、「ソーラーカーのマシンは近年著しく性能がアップしました。マシンの性能アップにともない、ソーラーカー専用のタイヤが必要とされたわけです」と、彼女は語る。どんなレースもそうだが、ソーラーカーレースにとってタイヤは特に重要だ。ガソリンを使うエンジンと違い、太陽電池から生まれる電力によって車を走らせるので、エネルギーロスをいかに減らすか 勝負の分かれ目となる。それゆえ、タイヤには軽量化が求められると同時に、転がり抵抗を低減させることも必要だ。加えて、「マシンの性能が上がることで、最高時速も飛躍的に伸びました。となると、軽量化・低転がり抵抗だけではなく、今度は耐久性も重要なポイントとなります」。タイヤを軽くして転がり抵抗を低く抑えることと、耐久性をアップさせることは、求められるベクトルがまったく逆。そのため、ソーラーカー用タイヤには非常にシビアなバランスが必要となる。 共同開発プロジェクトをスタートさせて金沢大学とともに試行錯誤を重ねること約1年、ようやく【SLR93】は完成にこぎ着けた。デビュー戦は2001年8月3日。秋田県大潟村で開催された全日本ソーラーカーチャンピオンシップ(JISC)で見事優勝、同時開催のワールドソーラーカーラリーでは準優勝という快挙を成し遂げた! また、同年11月にオーストラリアで開催されたワールドソーラーチャレンジでは総合10位という好成績を収めた。 「開発はとても大変でしたけど、結果を出せたことで達成感はあり ましたね」と草野は嬉しそうに歯をのぞかせる。1年間の試行錯誤の甲斐があってか、IRCの【SLR93】は、金沢大学は当然ながら、他のチームにも採用されるようになった。「ただ、レースの前はいつも大変なんです。ソーラーカー用タイヤは構造がシビアですし、量産するものでもありませんから、毎回1本1本手作業で作ってるんです。今回の鈴鹿では丸2日間、タイヤを作り続けました」と。「でも、そうやって手作業で作ったタイヤだからこそ、レースで結果が出ると本当にヤッター!って感じですね(笑)」。最後に、【SLR93】の「93」は、実は草野という名前をあてて「93」にしたということだ。一種のシャレなのだが、それにも増して、彼女の魂が【SLR93】には込められているのだと、筆者は思うわけである──。
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