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バイクに乗るのが好きだった。学生時代はツーリングに明け暮れる毎日。女性としても決して大柄な方ではないが、限定解除免許も取得した。そんな彼女が、将来、バイクに関わる仕事に就きたいと考えるようになったのは、当然過ぎる話だ。 「ただ、バイクは好きでもタイヤのことはチンプンカンプン(笑)」と入社当初を振り返る。配属されたのは開発技術部の製品開発グループ。毎日が勉強の連続だった。はじめはタイヤの各名称や構造など、覚えることが山のようにあったという。そんな彼女が入社5年目にしてはじめて開発を一任されたタイヤ、それが[WF-930]だった。構想を練ること半年、試作を繰り返すこと半年。一般ユーザーへ向けたタイヤの開発に、1年もの期間を費やすことは通常ありえない。 と草野氏。WF-920をスケールダウンさせるのが一番無難だ。だが、それではあまりに芸がない。結果、開発プロジェクトがスタートしてから、夜遅くまで机に向かう日々が続いた。 ![]() 「炎をどう表現するか…」。 ワイルドで大胆なデザインとタイヤのパフォーマンスをいかに両立させるか、それが一番のポイントだ。パターンデザインを起こしては細かい修正を加えるという、地道な作業を何度も繰り返した。…半年後、デザインのフィニッシュを迎えたときには、書き直した図面が40枚以上も あったという。そこからさらに試作品を作り、テストを繰り返すこと半年。プロジェクトがスタートして1年後、ようやく[WF-930]が完成した。 同じ炎をイメージしつつも、フロントとリアの表情はまったく異なる。フロントはハンドリングと安定性を重視し、周方向に流れるようなパターンデザイン。リアはメイングルーブがタイヤのセンターをまたぐという、燃えあがる炎の大胆さをより前面に押し出したパターンになっている。また、リアのパターンを3 ピッチにすることで、バイクの後に回ると、フェンダーから覗くタイヤの表面を炎が燃えあがっているように見える。タイヤサイドにも炎。しかもグルリと タイヤを一周している。
「タイヤのローテーションに合わせたデザインなので、走れば走るだけ炎は燃え上あがります。もう、ホワイトウォールには負けません!(笑)」。性能面では、ハイウェイでの二人乗りをも想定し、スポーツ系タイヤに使用されているコンパウンドを採用。グリップ力に優れ、ハイスピード での熱ダレも防ぐ。当然、タイヤにかかる負荷を考え、十分な剛性も確保されている。「入社したとき、いつかは自分が作ったタイヤでバイクに乗りたいと思っていました」と。その思いは[WF-930]で実現する。 ビッグスクーターにまたがり、街をクルーズする彼女を見かける日は、そう遠くない。…よね?草野さん。 PAGE TOP | IRC TIRE TOP| |
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